2026.02.16
10分の調査が生む「教員間の共通認識」。生徒の見えないリスクを可視化し、生きた指導へつなげる。
インタビュー日:2025年12月
学校名:淑徳中学高等学校
担当者様:河井先生
共学・別学:共学校
河井先生)本校では2020年に端末を導入しましたが、約5年が経ち、生徒のデジタル活用スキルは教員の想像をはるかに上回るスピードで進化しています。一方で、教員側がその実態を正確に把握できておらず、どのようなリスクに晒されているのか、どのような判断基準でデジタルを利用しているのかが見えにくいという課題がありました。
保護者の方からも不安の声をいただくことが増えており、経験や感覚といった「主観」ではなく「客観的なデータ」に基づいた指導が必要だと感じていたことが最大の理由です。
河井先生)はい。管理職も必要性を強く認識していたため、承諾自体は非常にスムーズでした。ただ、現場の教員からは、生徒がどこまで正直に回答してくれるのか、また得られた結果を具体的にどう指導へ活かせるのか、といった「調査の有効性」に対する不安の声もありました。教員には、生徒が取り組む内容をあらかじめ深く理解しておきたいという思いがあります。そのため、事前に詳細な質問項目やサンプル資料を共有し、調査後の活用イメージまで可視化できていれば、より現場の理解と安心感を得られたと感じています。
河井先生)運用は極めて円滑でした。ウェブフォームによる回答形式は、デジタルネイティブである生徒たちにとっても親和性が高く、中学生は一斉実施、高校生は各自のデバイスを用いた期間内回答という形を取りましたが、特段の混乱なく迅速にデータを回収できました。
河井先生)正直に申し上げて、「期待以上」でした。報告書が非常に細かく、学年ごとの傾向やクラスごとの強み・弱みが明確になっており、特に生成AIに関するリテラシー不足や改善点について具体的に言及されていた点が大きな収穫でした。
河井先生)教育の質を「見える化」できる点です。ICT教育やリテラシー教育は、外部から取り組みが見えにくいという課題があります。この調査結果を基に、「本校ではここまで把握し、対策を講じている」とホームページや広報活動で発信することで、学校としての安心感をアピールできる大きな武器になると感じています。
河井先生)生徒の回答時間は約10分と非常に短く、授業への影響を最小限に抑えられました。それでいて、生活指導部からは「冬休み前に具体的なフィードバックが得られるのはありがたい」と歓迎の声が上がっています。教員間での「生徒の実態に対する共通認識」がデータによって形成されたことで、今後の指導がより一貫性のあるものになると期待しています。
河井先生)まずは生活指導部や学年主任と共有し、具体的なアクションプランを策定します。報告書の巻末にある「アクションプラン」は、次の指導をイメージしやすく非常に助かります。
今後はこの調査を定期的に継続し、指導の効果測定を行いたいですね。単に実態を把握するだけでなく、「いじめ実態調査」との連携やコミュニケーション改善といった具体的な内部対策に直結させていきたいと感じました。同時に、本校のリテラシー教育への取り組みを可視化し、受験生や保護者の皆様へ「安心できるICT環境」を広報活動を通じて力強く発信していけるのではないかと考えています。
河井先生)特にICT推進がこれからという学校や、生徒の端末利用や学校の管理方法に不安を感じている学校には、相当なニーズがあるはずです。まずは現状を可視化すること。そして、調査結果を解説してもらうだけでなく、講演やワークショップといった「対策プログラム」とセットで導入することで、現場の先生方も迷わず指導に動けるようになると思います。
単発の調査で終わらせず、結果を次の一手に繋げることが、生徒をネットトラブルから守る一番の近道だと感じています。
今回のインタビューを通じて、本調査が「1回きりの現状把握」ではなく、より実効性の高い教育を実現するための「スタートライン」になっていることを強く実感いたしました。
調査によって可視化されたデータは、今の生徒たちに足りない要素を浮き彫りにし、次にどのような指導が必要かを検討するための「共通言語」となります。この結果を起点として、学年・クラスごとのきめ細やかな指導や、既存の校内の取り組みと連動した対策へと繋げていく——。そうした学校側の継続的な歩みを支える土台として、本調査を活用されている姿が非常に印象的でした。
データという根拠を、現場の先生方の情熱によって「生きた指導」へと変えていこうとされる姿勢に、深い感銘を受けました。貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。