2025年6月10日に行った研修会「これから取り組む生成AI〜授業や校務に生成AIの導入・活用を考えるための最初の一歩〜」のアンケートでは、生徒への生成AIの活用促進は「利用は禁止していないが指導は特に行っていない(33.3%)」「利用を制限・禁止している(12%)」「特に決まっていない(20%)」が「積極的に推奨している(2.7%)」「一部の授業や場面で許可している(25.3%)」を上回り、全体の6割以上を占めています。
※6/10研修会の参加申込みフォームのアンケートより
このことから、現時点では多くの教育現場がまだ模索段階にあることがわかります。
授業での本格的な活用に踏み切るには、運用ルールの整備や教員側の理解・体験の蓄積が不可欠であり、「一部の先進的な実践」が今後の参考モデルとして注目されるフェーズにあるといえるでしょう。
そんな中、早くから独自の取り組みを進めているのが、今回訪問した洗足学園小学校です。
「洗足学園小学校は、中高と比べて教員数が少なく、全体で30名程度。だからこそ、何かを始めるときに進めやすい」(田中校長先生)
「社会のリーダーを育成する」という観点からテクノロジーの活用を推進していこうという学校の方針から、ICT端末の導入も既に進んでおり、その土台があったからこそ生成AIにもスムーズに取り組むことができたといいます。
「大学の先生から学んだり、セミナーに参加したり、担当教員が積極的に学び、それを校内で共有しています」(田中校長先生)
と語る田中校長先生。学校内部の推進だけではなく、外部からの協力者を得たことが、生成AI導入の後押しをしたそうです。
また、導入や実際に授業で使う際には、いくつか超えなければならないハードルもあったそうです。
「生成AIを使用する授業では、はじめに担当教員が使い方をしっかりとレクチャーしています。」(田中校長先生)
「児童の利用にあたっては保護者から承諾をいただいています。最初はどんな反応がくるか心配でしたが、心配に及ぶことなく同意いただけました」(田中校長先生)
このあたりは導入を検討している学校にとっては気になるところですが、子どもたちの未来と向き合うことが、一つひとつのハードルを超えていく原動力になっているのかもしれません。
実際に子どもたちは、どう感じているのでしょう。何か声は拾っているのでしょうか。
「子どもたちには、アンケートをとっていますが、満足度が高く、表現力が高まったとの声をいただいています」(田中校長先生)
生成AIを活用した授業の設計なども関係していそうですが、教員によって生成AIに関する知識が偏ってしまう心配はないのでしょうか。
「生成AIだけではないですが月1回程度、ICTカフェを実施しています。各自がテーマを持ち寄って、短時間ながらも活発に情報共有を行っています。」(宮田先生)
勉強会を行っている学校は多いと思いますが、このような場を通じて教職員がノウハウの共有を図り、知見を広げ、取組みに対しても前向きに捉える空気が、学校全体に広がっているように感じました。
とはいえ洗足学園小学校のように、学校全体で生成AIに関する取組みを推進している学校はまだ少ないと思います。導入にあたって、何か助言があればお願いします。
「全体で足並みを揃えてというのも難しいので、まずは教員チームを作ってスタートしてみるのが良いのではと思います」(田中校長先生)
小さな一歩が、やがて学校全体の前進へとつながる。洗足学園小学校の取り組みから、まず一歩を踏み出すことの意味と、その先に広がる可能性を実感させられました。
生成AIの活用には、技術的な知識以上に、教育現場にフィットした運用の知恵が求められます。スクールガーディアンでは、以下のような支援を提供しています。
「試してみたい」「でもどう始めたら…」という学校こそ、お気軽にご相談ください。
また、昨年度よりDXハイスクールに採択され、学校現場で生成AIの活用を推進している学校の先生をお招きして、学校現場での導入のきっかけから、どのように校内で推進してきたのか、授業や校務での活用事例まで、具体的な実践についてお話いただく研修会を7月30日に開催します。ぜひ下記の研修会ページから詳細をご確認ください。
https://school-guardian.jp/sg_event/250730seminar/
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今回、お話を伺った学校:洗足学園小学校(https://www.senzoku.ed.jp/)
ご協力:田中校長先生、宮田先生