「どうして明らかに非常識なことをするのか」「なぜ、わざわざSNSに投稿するのか」ー炎上した投稿を見ているとこうした疑問を抱く方も多いかと思いますが、なぜ、若者はこうした行動/投稿をしてしまうのでしょうか。
不適切行動をしてしまう心理
-問題行動だと思っていない -“やんちゃな行動”が仲間内でウケる、称賛される -いじめの一部 -話題になっていることの模倣 投稿をする心理 -仲間内にしか見られている感覚がない -より多くの人に注目されたい |
「若気の至り」という言葉があるように、若者が時に不適切な行動を取ってしまうことは決して今に始まった珍しいことではありません。
また、人から「称賛されたい」「すごいと思われたい」というような気持ちも少なからず誰しもが抱く気持ちです。SNSは、感覚の近い人たちとつながっているため、投稿したものに対して「いいね」というような肯定・賛同を得られやすく、こうした気持ちを満たしやすい道具とも言えます。
一方で、非公開アカウントで友だち同士としかつながっていない、友だちしか見ない、ということからSNSが世界とつながっているという認識が希薄になっているケースも多いようです。
また、閲覧履歴やフォローしているアカウントの傾向などから、類似の情報がおすすめとして表示されるため、”見ている情報=世間の常識、多数派”という認識に陥りやすいという特徴もあります。
最近炎上した投稿は、いずれも発端となっているのはTikTokやInstagramでの投稿です。
中には、非公開アカウント(鍵アカ)や、一定時間経つと消える機能による投稿もあります。数年前の投稿が今になって炎上しているケースもあります。なぜ、このようなことが起きているのでしょうか。
一つには、告発系インフルエンサーと呼ばれるアカウントの存在があります。
これらのアカウントにより拡散性の高いTwitterなどで紹介されると小規模な炎上状態から一気に拡散し、多くの人が知るところになったり、または内輪で留まっていた投稿が炎上を目的にこうしたアカウントに情報提供されるケースもあります。
SNSで多くの人が話題にすることで、ネットニュースやテレビなどの大手メディアでも取り上げられ、さらに多くの人に知られることとなります。
不適切投稿が炎上すると、関連人物を特定する動きが起こります。
不適切行動をした人、撮影者、周辺にいた人などが特定され、名前や年齢、学校名などの個人情報がネット上で晒されてしまいます。そして、ネット上で多くの誹謗中傷を受けるだけでなく、学校や自宅などにも抗議の電話や嫌がらせをする人が現れます。
いたずらや出来心など安易な気持ちで行った投稿は、個人情報を含めインターネット上にデジタルタトゥーとして残り続けてしまいます。
また、多くの人を不快な思いにさせるだけでなく、刑事罰を受ける可能性や損害賠償を求められる事態になる可能性もあるということを考えなくてはいけません。
上述のように、SNSでは情報が偏りやすいため勘違いしやすいのですが、自分たちの「おもしろい」をみんながおもしろいと思うとは限らない、ということを改めて認識する必要があります。
当事者が、そんなつもりはなかったとしても、それを見た人にどう評価されるかは分かりません。多様な価値観があることを意識する必要があります。
また、普段は「そんなバカなことするわけない」と思っていたとしても、場の雰囲気に飲まれたり、羽目を外してしまう、という可能性は誰にでもあります。投稿する前に一度立ちどまれるか、またはお互いにストップをかけられるかが大切です。
仲間内でのみ共有されていた動画を、仲たがいなどをきっかけとして、相手を貶めるために、不適切なものと分かっていて流出させるというケースがあります。
しかし、ちょっとした腹いせのつもりでも、場合によっては相手の一生を壊す可能性もある行為だということを考えなくてはいけません。
また、自分に無関係な炎上投稿を見かけた際に、それを拡散したり、元の投稿を責めるような誹謗中傷行為をすることにより、名誉棄損などで訴えられることも考えられます。正義感のつもりが、いつの間にか不適切投稿をする加害者にならないように気をつけましょう。
若者による不適切投稿の炎上が話題になる中、改めて炎上投稿の背景や経緯をまとめました。「自分は大丈夫」「そんなことするわけない」と思っていても、ささいなきっかけやSNSの特性により炎上につながることがあります。
「これを投稿したらどうなるか」ー投稿ボタンを押す前に、ちょっと立ちどまって想像することを心がけてほしいと思います。