チート行為とは、英語の「cheat」、日本語に訳すと「騙す」「欺く」という意味の言葉から来ています。ゲームデータやプログラムに自分が優位になるような改造を施す行為を指し、チート行為をしている人は「チーター」と呼ばれています。
例えば、自分のゲームのキャラクターには絶対に攻撃が当たらないようにしたり、ゲームを有利に進めるために不正にアイテムを入手したりする行為などがあります。
チート行為に及ぶ背景には、「さらに強い敵を倒したい」「強力なアイテムが欲しい」などの欲求がありますが、特に子どもたちのコミュニティでは、ゲームで一定以上の強さを持っていることで、友だちから称賛の声を得ることができたり、一目置かれることがあります。
逆にゲームが弱いと、「友だちに馬鹿にされる」「同じチームに入ると負けるからと仲間はずれにされる」などの事態が発生してしまうことがあります。
ゲームに対する熱量が高かったり、友だちの間で流行っているゲームほど、チート行為をしてでも勝ちたいという衝動にかられるのです。
チート行為により、製作者の意図しない動きをすることで、プレイヤーの間に不公平が生じることになります。不自然に独り勝ちする人がいることで、純粋にゲームを楽しんでいた人たちがゲームから離れていってしまう可能性があります。プレイヤーが減ることは、ゲーム会社にとっての損失となるため、ゲームそのものの存続にも影響が出かねません。
こうした理由から運営会社がゲームの利用規約でチート行為を禁止していることは珍しくありません。チート行為をすることは、規約違反となり、アカウントの停止などの処分につながる可能性があります。
製作者の意図に反してゲームに手を加える行為は、「著作権侵害」になる可能性があります。また、電子的記録を破壊する行為が「電子計算損壊等業務妨害罪」に該当する可能性があります。チート行為に対処するプログラムの開発にかかる負担や、前述のプレイヤーの離反などから、ゲーム会社に損害を与えることとなり、損害賠償責任を問われる可能性もあります。
実際、過去にもチート行為により逮捕や訴訟につながった事例があり、警視庁のwebサイトでも「チート行為はやめましょう!」と掲載されています。
プログラムを改変するなどのチート行為には一定の専門知識も必要となることから、中高生には縁遠いように感じられるかもしれません。
しかし、動画配信サイトでチートのやり方を詳細に説明していたり、SNSで「チート代行」を有料で請け負うといった投稿が多数あります。数千円で有利なアイテムが出るように変更されたり、レベルを大幅に上げてもらえるという内容で、中高生でもお小遣いの範囲で依頼できるようになっているため、安易に手を出してしまうケースがあります。
しかし、こうしたチート代行を依頼した場合、以下のような問題が考えられます
チート代行の依頼自体に違法性はありませんが、違法性のある行為の代行を依頼している、また、個人情報を不適切に他人に渡してしまうことを考えるととてもリスクの大きい行為だということを認識する必要があります。
前述のように「強くなりたい」などの理由から安易に手を出してしまいがちなチート行為、チート代行への依頼ですが、どのような点で問題なのかということをきちんと認識できていない中高生が被害に巻き込まれるケースは多く見受けられ注意が必要です。
オンラインゲーム、スマホゲームの普及からゲームのアカウントの売買は広く行われています。RMT(リアルマネートレード)と呼ばれ、販売サイトも多く存在し、大きな市場を形成しています。
一定レベルまで上げたものの飽きてやらなくなったアカウントを売ることでお小遣い稼ぎをしたり、強い状態からゲームを始めたいなどの理由で買うといった取引が行われていますが、どのような点が問題なのでしょうか。
多くのゲームの利用規約では「ゲームアカウントの売買はしてはならない」という記載がされています。
アカウントの作成者と実際のゲームの利用者が異なることで、トラブルの際に所在を追いにくい、前述のようなチート行為が行われているアカウントの売買が多い、金銭面でのトラブルが生じやすいなどの理由により、ゲーム運営会社はアカウントの売買を禁じています。
利用規約に違反したユーザーに対して、ゲームの運営側はアカウントの使用停止や場合によっては損害賠償の請求へとつながることがありますので、利用規約を確認し、守ることが大切です。
売買されているゲームアカウントの中には、盗まれたメールアドレスやパスワードで構成されているアカウントがあります。
盗まれたログイン情報のゲームアカウントを買ってしまった場合、不正アクセス禁止法に違反する恐れがあります。不正アクセス禁止法とは、ネット上での不正アクセスや不正行為に繋がる行為を禁止する法律です。
ここでの不正行為とは、アカウントのアクセスに必要なログインID、パスワードの取得も含み、対象のアカウントに本人の許可なくログインすることや、他者の電話番号、メールアドレスを無許可に使い新規登録したアカウントの売買なども対象となります。
アカウントの作成あるいは、金銭のやり取りの際には少なからず個人情報を含むやり取りをすることになります。他のSNSと紐づけてアカウントを作成しているケースも多く、安易に売買に関わることで、個人情報の漏洩や、アカウントの盗難被害(のっとり)に遭う可能性があります。
また、売却したのに金銭が届かない、購入したのに使用できないアカウントだった、などの詐欺被害に遭うケースも考えられます。
いずれの場合も、アカウントの売買自体が規約で禁止されているので、そこで生じたトラブルについて、ゲーム運営会社に助けを求めることはできません。
ゲームアカウント売買やチート行為について、子どもたちに伝えたいことを記載します。
「やらないように注意する」だけでなく、「なぜダメなのか」理由を明確に伝えましょう。
「犯罪になる可能性があること」「規約違反などによる処罰の対象になること」「被害に遭ったら取り返しがつかないことが多い」など上述したような内容をきちんと伝えることが重要です。ゲームをやり始める時から、「ゲームアカウント売買、チート行為はルール違反である」という認識を持てるようにしましょう。
トラブルに巻き込まれた場合、自分だけで何とかしようとせず、すぐに周囲の大人たちに相談するように伝えましょう。
ゲーム内でチート行為をしていると思われるプレイヤーを発見したときは、ゲームの運営側に報告をしましょう。ゲーム内にチート行為をしているプレイヤーを報告するための機能があれば、それを利用しましょう。
アカウントの売買を発見したとしても絶対に取引に関わってはいけません。大人と相談したうえで、ゲームやサービスの運営元に連絡するかどうか判断をしてください。
ゲームにおけるチート行為とアカウントの売買についてご紹介しました。
チート行為もアカウント売買も、自分や周囲の人たちが悲しい思いをするだけでなく、法律を犯して、自分の人生が壊れてしまう可能性もあります。
チート行為やアカウント売買をしないことはもちろんのことですが、もしそういう行為を見かけたら運営側へ通報するなど、誰もが健全にゲームを楽しめるようにしていくことが大切です。
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