「五月病」とは、正式な医学病名ではありません。もともとは1970年代ごろに、大学合格を目標に全力で勉強していた大学生が、入学した結果、燃え尽きてやる気を失ったり、無気力になる症状を、メディアが「五月病」と呼んだことがきっかけだと言われています。
今では、五月病の症状は大学生だけでなく、中学・高校受験や就職活動を頑張った人たちにも見られ、医学的には適応障害やうつ病に近い状態と言えます。また、現在では5月頃に生じるメンタルの不調全般を「五月病」と呼ぶことが多くなっています。
春先は、入学・進級など自分を取り巻く環境が大きく変化します。
新たな環境についていけない、人間関係が上手く構築できないなど、様々な要因からストレスが蓄積すると、GWの連休明けに五月病の症状が出ることがあり、その結果、学校に行く気が湧かなくなったり、最悪の場合自殺につながる可能性もあります。
連休明けには各SNSで「学校に行きたくない」等の書き込みも多く見られるようになります。ストレスからSNSやゲームに没頭してしまったり熱中しすぎてしまったりすると、「ゲームの止め時が分からず、眠れなくなる」「SNSが気になりすぎてしまう(依存傾向が強くなる)」など心身に悪影響を及ぼしてしまう場合があります。
五月病の症状について、その一部を精神的症状と身体的症状に分けて紹介します。
・精神的症状
・やる気が起きない
・何をするにも億劫
・集中力・思考力の低下
・不安感や焦燥感
・身体的症状
・食欲がなくなる
・朝起きることができず、夜寝付くことができない
・頭痛やめまいがする
・疲れやすく、倦怠感がある
このような症状が見られた場合、「五月病」かもしれません。
特に精神的症状においては、うつ病などの重篤な病につながる可能性もあります。
このような症状にいち早く気づくとともに、子どもたちの異変に気付いたら、話を聞いてあげるなど、子どもたちに寄り添うことが重要です。
・24時間子どもSOSダイヤル
いじめ問題やそのほかの悩みを抱える子どもや保護者等が、いつでも相談機関に相談できるよう、夜間・休日を含めて24時間対応可能な相談体制を都道府県及び指定都市教育委員会が整備しています。
下記のダイヤルに電話すれば、原則として電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関に接続します。
24時間子どもSOSダイヤル (なやみいおう)0120-0-78310
他にも様々な相談窓口が設置されています。都道府県ごとに異なる窓口もありますので、その一部を紹介します。
・厚生労働省「まもろうよ こころ」
https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
・チャイルドライン(18歳までの子どもがつながる)
https://childline.or.jp/supporter/cl_center
昨今の子どもたちの多くが、SNSを日常的なコミュニケーション手段として用いていることを踏まえ、厚生労働省では平成30年3月から、自殺防止を目的としたSNSを活用した相談事業を開始しています。
SNSを活用した相談の強みとしては下記のことがあげられています。
・対面でのコミュニケーションが苦手でも安心して相談しやすい
・様々な専門性を持つ相談員間でのチームプレーにより対応できる
・過去の相談履歴を参照できる
出典:「自殺対策におけるSNS相談事業 ガイドライン概要」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000494484.pdf
このように、SNSの特性を活かした窓口が設置されるようになり、悩みが相談できる手段も増えてきています。
以下にSNSで相談できる窓口の一部を紹介します。子どもたちが不安を感じたら活用することをおすすめします。
・インターネットよりそいチャット
https://yorisoi-chat.jp/
・こころのほっとちゃっと
https://www.npo-tms.or.jp/service/sns.html
・生きづらびっと
https://yorisoi-chat.jp/
今回は、子どもの間でも増えている「五月病」と、不安を抱える子どもたちに向けた相談窓口を紹介しました。
子どもたちが誰にも相談できず抱え込んでしまい、命を落とす決断をすることがないように、子どもたち本人をはじめ教職員・保護者の方に是非このような窓口を知っていただければと思います。
私たちも、いじめ匿名通報サイト「スクールサイン」を通じて子どもたちから、SOSを出せる環境を創り、自殺願望や悩みをもつ子どもたちの早期発見につなげていければと思っています。