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位置情報共有アプリに潜む危険

2022.09.16

今年8月、北九州市内で30代女性とその娘の高校生が刃物で刺される事件が発生しました。この事件の加害者は、位置情報を共有できるスマホアプリを使って、被害者の住所を特定し待ち伏せしたと報道されています。位置情報共有アプリは、便利な機能が多くある一方で、危険もあり注意が必要です。今回は、位置情報共有アプリに潜む危険についてご紹介します。

位置情報共有アプリとは

位置情報共有アプリはスマートフォン向けのアプリです。アプリのIDや電話番号で繋がっている友達・恋人・家族の位置情報を共有でき、若い世代に人気が広がっています。中には、相手の電池残量、移動速度などを把握することができるアプリもあります。

 

「STRATE」が2021年に400人に行ったアンケート調査では、全国の15歳〜29歳の男女のうち、位置情報アプリで恋人やパートナーと「お互いに位置情報を共有している」もしくは「どちらかの位置情報を知っている」と回答した若者は、全体の約3割という回答でした。

出典:「STRATE」10代・20代の約23%が恋人と位置情報を共有していると回答【Zenly等の位置情報共有アプリ利用に関するアンケート】

https://strate.biz/news/location-information/

目的に応じた位置情報共有アプリ

位置情報共有アプリには、目的に応じてさまざまな種類があります。
いくつか代表的なアプリをご紹介します。

 

アプリ 使用目的 チャット機能
Zenly LINEの友達を登録可能。友達や恋人と一緒に使いたい人に利用傾向あり。

※2022年9月1日にサービス終了を発表

あり
ココイル その日限りでサービスを使いたい人が利用する傾向あり。サークル機能(グループ)があり12時間で削除される。 あり
iシェアリング 小さな子どもがいる・家族で使いたい人に利用傾向あり。緊急通報機能がある。 あり
Life360 学校や職場の登録ができ、緊急通知機能などがある。家族でGPSアプリを使いたい人に利用傾向あり。 あり
【家族用】Hachi 離れて暮らす家族・祖父母と一緒に使いたい人に利用傾向あり。位置情報や健康状態が確認できる。 なし
Find My Kids 子どもの居場所を常に把握しておきたい人に利用傾向あり。バッテリー残量や行動記録を確認できる。 あり
ココダヨ 緊急時に家族の安否を把握しておきたい人に利用傾向あり。緊急災害警報と連動している。 あり

 

このように、目的別にさまざまなアプリがあり、中にはチャット機能でメッセージのやりとりができるものもあります。友人との待ち合わせなどに使われるケースが多く若い世代に人気が拡大しており、また家族・祖父母と共有できる事で安否確認につながるメリットもあるようです。

 

しかしメリットだけではありません。アプリをダウンロードする前に知っておくべき注意点や、使用時のリスクについても確認する必要があります。

位置情報共有アプリのトラブル事例

アプリを使用したトラブルもいくつか報告されています。

記憶に新しい事件としては、今年の8月、福岡県北九州市の住宅で37歳の母親と15歳の娘が刃物で刺され、重症を負う事件が起きました。母娘は帰宅した際に玄関のドアが開いていて、中から出てきた若い男に刺されたといいます。

この事件は、加害者と被害者がSNSを通じて知り合い、被害者が連絡を断ったところ、自宅まで来て事件を起こしたと報道されています。

 

加害者が被害者の自宅を知った経緯では、位置情報共有アプリを通じて住所を把握した可能性が指摘されています。

 

参考:「J-CASTニュース」

URL:https://www.j-cast.com/tv/2022/08/16443788.html?p=all

この事件のほかにも下記のようなトラブルがあります。

 

  • 友達同士のトラブル

位置情報を公開する人、しない人と自分自身で公開範囲を設定できるため、発覚した際にケンカの元となることがあります。他にも、「これから習い事だよ」と伝えていたにもかかわらず別の行動をとったことで信用問題になりトラブルに発展することもあるようです。

 

  • 恋人同士のトラブル

浮気調査とも言い換えられますが、恋人同士で位置情報を共有していると常に居場所が把握されている状態になります。バッテリー残量や移動速度も表示されるため、電話に出られなかった際具体的に回答をしないと疑われてしまいトラブルに発展することがあるようです。また、位置情報を一時的に非公開にしたことで、さらに疑われたりとストレス状態が続きます。

 

  • ストーカー被害

アプリを利用していると、知らない人から突然友達申請がくることがあります。中には自分のIDをSNS上で公開して友だち申請を求めている人もいます。面識のない人から自宅や学校が特定され「外で待っているよ」とメッセージが来るなどのトラブル事例も報告されています。

 

このように、いつのまにか本来の使用目的とは異なる使い方になってしまい、トラブルに発展してしまうことがあるため注意が必要です。

位置情報共有アプリを使用する際の注意点

前述したように、位置情報共有アプリにはメリットもあればデメリットもあります。

使用する際の注意点としては下記のようなことがあげられます。

 

  • ダウンロード時には必ず機能の確認を

予め、位置情報が原因で起きたトラブルを確認し「犯罪に悪用する人が一定数いる」ということを理解しておくことが大切です。また、ダウンロード前にチャット機能があるか、バッテリー残量が確認できるかなど、そのアプリにどのような機能が備わっているか把握しておくと良いでしょう。機能が多ければその分トラブルの元が増えることに繋がるため注意が必要です。

 

  • 公開範囲を制限する

位置情報を公開する範囲を制限し、知らない人から友達申請がこないようにすることを推奨します。また、SNS等に自身のIDを公開する行為や、自分や相手の位置情報をスクリーンショットで撮影しSNS等に投稿することは絶対にしないようにしてください。

 

  • 現在地は常にオンにしない

位置情報共有アプリをダウンロードし、常に現在地をオンにした状態でいることは危険です。ほかにも、TwitterやInstagramなどのSNSで投稿時に現在地をオンにしたままにしていると、本来共有したくないはずのプライバシー情報がインターネット上に公開される危険性があります。悪質なストーカー被害にも繋がることがあるため注意が必要です。

 

まとめ

位置情報共有アプリは、安否確認や待ち合わせ場所の共有に活用できる便利なアプリです。

しかし「アプリはトラブルの種が非常に多い」「悪用する人がいる」ということを予め理解しておくことが非常に大切です。友達や恋人同士のトラブルに発展することもあるため、アプリをダウンロードする本来の目的と使い方がそれてしまっているようであれば、アプリを削除する勇気も必要です。

使用する際はリスクをしっかりと確認し、定期的に自身の使い方をチェックすることを心がけましょう。

 

(記事内の情報は、2022年9月時点のものです)

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