「#春から〇〇」とは、X(旧Twitter)やInstagramの投稿に使われるハッシュタグです。
主にこのハッシュタグを使用しているのは春から新たな学校に進学する新入生で、「〇〇」の部分に進学先の学校名を入れることで、その学校に入る新入生同士がお互いを検索しやすくし、交流を深めることを目的としています。
コロナ禍の影響もあって、特に2020年ごろから直接会わずに交友関係を広げられることもあり、「#春から〇〇」をつけた投稿が多く見られるようになりました。
・入学前から友達を作ることができる
「#春から〇〇」をつけた投稿によって、SNS上で入学前から同じ学校の友達と出会うことができます。
中高生がこのハッシュタグを使用する大きな目的として、進学の不安解消があります。入学後の人間関係や、入学に向けた書類や課題などの準備など、先が見えない新たな生活に新入生たちは大きな不安を感じます。
そんな中、入学前にSNSを通じてやり取りをすることで、事前につながりを増やし、入学後にスムーズに人間関係を構築することができます。入学式の時点ですでに知り合いがいたり、新入生同士で学校についてのやり取りができるということは不安を抱える新入生たちにとって大きな安心材料になります。
新入生にとってはとても便利な「#春から〇〇」ですが、実は多くの危険をはらんでいます。
ハッシュタグを使用するにあたって注意点をいくつか紹介します。
・なりすましの可能性がある
学校で実際に顔を合わせて交流する場合と違い、顔が見えない「#春から〇〇」を用いた交流において、新入生を装うことは容易です。SNSのプロフィールに関しても本当の新入生のようにリアルに創られたものが多く「偽新入生」を見抜くのは難しいです。
新入生と見せかけて、実は出会い目的の大人だったという事例や、ハッシュタグを通じて知り合った人物からDMで突然性的な写真が送られてくるなどの事例も起こっています。
本当に自分と同じ学校の生徒かどうか確証を得るのはほぼ不可能であるため、たとえ友達がほしくても、相手を完全に信用してはいけません。また、相手から「直接会いたい」などと言われても、安易に会うのはやめましょう。
・悪質な勧誘や詐欺サイトへの誘導
一つ目の「なりすまし」とも関連しますが、実際は新入生でない人物がハッシュタグを用いて新入生と繋がり、学校に関する情報を提供すると見せかけて、詐欺サイトやフィッシングサイト、広告サイトに誘導するという事例が起こっています。
新入生はまだ学校の情報について知らないことも多いため、相手から上手く誘導されると内容を精査せず、送られてきたURLを開いてしまったり、悪質なサイトにアクセスしてしまうケースが多いです。
このようなトラブルに巻き込まれないように情報やURLのソースが信用できるかどうか慎重に判断する必要があります。信用できない相手から送られてきたサイトを開かないことはもちろん、万が一開いてしまったとしても誘導先のページで個人情報を入力しないようにしましょう。
・個人情報を教える危険性
このハッシュタグを用いて投稿すると、「その学校に入学する新入生」であることがわかるため、必然的に年齢や進学先名、生活圏などの個人情報を公開することになります。また、プロフィールから過去の書き込みをさかのぼれば、出身地や趣味、1人暮らしかどうかまで分かってしまう危険性もあります。
また、「#春から〇〇」を通じて仲良くなった人物に安易に個人情報を教えるのも危険です。自分の家や名前だけの個人情報に限らず、合格の際の番号などを教えると、第三者による入学辞退が可能になる場合もあるので注意が必要です。
・SNSでのやり取りによるトラブル
顔を合わせた交流と違って、SNSのメッセージ上でのやり取りは、お互いの気持ちが伝わりにくいという難点があります。入学前のやり取りは、まだ実際に顔を合わせたこともなく、お互いについてよく知らない状態であるため、トラブルが起きるリスクが非常に大きいです。
また、実際の中高生の声として「入学前からやりとりしていたけど、実際対面で話して見たら価値観が合わなくて気まずくなった。」「SNSの雰囲気から合わないような気がして、直接会う前から仲良くしなくていいやと思った。」というものがあり、入学前のSNS上でのつながりが、却って人間関係構築に悪い影響を与えるケースもあります。
入学前にSNSでつながった人よりも、入学後に対面でのやり取りを通して友達になった人の方が人間関係が長く続いているという声も非常に多く見受けられます。入学前には友達ができるかどうか不安に感じるかもしれませんが、入学後には進学先の学校で多くの人と出会う機会があるので、あまり心配する必要はありません。そのためリスクを負ってまで、SNSで友達を作る必要はないと考えられます。
「#春から〇〇」というハッシュタグは、特にコロナ禍で、実際に人と会うのが難しくなったことをきっかけに、多くの人が使用するようになりました。入学前から知り合いを作ることができ、新しい学校での生活に不安を抱える子どもたちにとって、非常に便利なハッシュタグのように思えますが、その一方で、新入生になりすます悪質な事例や、個人情報の流出などのリスクがあります。
SNSを通じたやりとりは、顔が見えないため、相手がどんな人か確かめることができません。たとえ仲良くなったとしても、相手のことを100%信用することはせず、リスクを知ったうえで交流するようにしましょう。
スクールガーディアンでは、子どもたちの「リスクある投稿」を見守る【ネットパトロールサービス】を提供しています。また、ネットトラブルに巻き込まれた際に、子どもたちがカウンセラーへ相談できる環境を用意する【SNS相談・通報サービス】がございます。
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