内閣府の「平成29年版 子供・若者白書」の特集「若者にとっての人のつながり」によると、若者の約6割が「インターネット空間に自分の居場所がある」と回答しています。
これは、「学校に居場所がある」と回答した約5割を上回る数字になっています。生徒の約半分は「学校に居場所がない」と感じているのです。
さらに、若者たちがもっとも自分の居場所だと感じているのは「自分の部屋」で9割に近い数値になっています。
これは非常に懸念するべきことで、若者たちは家庭や学校など、人々の集団に自分自身の居場所がないと感じている可能性があります。
そのような現状で、SNSなどのインターネット空間に自分の居場所を求めてしまうようです。
特集 若者にとっての人とのつながり|平成29年版子供・若者白書(概要版) – 内閣府
人は,出生から乳幼児期,学童期,思春期を経て,青年期,成人期といった段階を社会と関わりながら過ごしていく。人生のあらゆる場面において,常に人は他者とつながり,助け合っており,他者とのつながりの中で生きていく。 …
SNSには様々な世代や国籍、バックボーンを抱えた人がいます。
また、同じ趣味の人がすぐに繋がることができるハッシュタグも波及しています。多くの人が利用するインターネット空間では、自分と気の合う人を見つけることができます。
また、長期休みが終わる頃には「つらいときは学校へ行かなくてもいい」とメッセージを投げ掛ける人は多く、学校やクラスに居場所がない子どもたちの心境も受け入れてくれます。
一方で、子どもたちがSNSを通じて事件に巻き込まれるケースは増加の一方です。特に児童ポルノや出会い系被害が後を立ちません。
最近では「裏アカ」と言われる日々の愚痴などを投稿するアカウントを持つ中高生が急増しています。その中には出会いを求める投稿や、女子中高生が自身の下着や写真などを売買する投稿が目立ちます。
また、「寂しい」「つらい」などの投稿を行うと、相談にのるようなのメッセージが寄せられ、DMでのやりとりに発展し、そこから直接会わないかと誘われ、トラブルになることがあるようです。
このように精神状態が弱り、正常な判断がしにくくなっている孤独な子どもたちを狙う悪意を持った人々は少なくありません。やはり、顔の見えない人との交流は当然危険を伴います。
しかし、このような危険性を理由にSNSを禁止することも、大きなストレスになってしまい、逆に居場所を奪ってしまうこともあるでしょう。
危険性をしっかりと理解しつつ、効果的に利用できるよう、バランスを保った指導が必要です。
様々な理由から、SNSを心の拠り所にする子どもたちは大勢いて、それによって救われる人々がいるのも事実です。広い世界で自身の居場所を気軽に作れること自体は素晴らしくインターネットの可能性と言えます。
しかし、子どもたちを狙う悪意のあるユーザーは多く、決して安全な場所とは言えません。
だからこそ、インターネット・SNSに子どもたちの居場所を一任するのではなく、学校や家庭、地域、社会が一体になり、子どもたちの居場所をひとつでも増やすことも必要だと思います。