6月は、小中高生の不登校や自殺リスクが特に高まる「要注意の時期」です。
文部科学省の調査によれば、令和5年度の小中高校における不登校者数は約41万5千人と過去最多を記録し、厚生労働省によると同年の小中高生の自殺者も過去最多の529人に上っています。
また、厚生労働省の調査でも、月別の小中高生の自殺件数を平均すると、6月(大型連休明け)や9月(夏休み明け)にかけての増加が顕著であることが示されています。
新学期が始まって約2か月が経ち、子どもたちが環境に適応しようと無理を重ねてきた疲労が限界に達しやすい時期でもあります。加えて、梅雨による気分の落ち込みや、期待と現実のギャップから自己否定感を強めるケースも少なくありません。「もう少し頑張れば慣れる」と踏ん張っていた子どもが、いつの間にか静かに限界を迎えてしまうことがあるのです。
参考:
https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_2_2.pdf
子どもが発する「SOS」は、必ずしも言葉で伝えてくれるわけではありません。むしろ、言葉にできないまま、行動や態度の変化として表れることのほうが多いのです。
厚生労働省が発表している「こころのSOSサイン」には、以下のような具体例が挙げられています。
・睡眠
睡眠のリズムがくずれている。
眠れない。
・食欲
食欲がなく、食べる量が減った。
とくにパンやご飯、お菓子などの炭水化物を欲しがる。
・体調
体がだるそう。
顔色が悪い。
・行動
挨拶をしなくなった。
何もせず長い間ぼんやりしている。
この他にも、さまざまなサインが紹介されています。詳しくは以下の厚生労働省のサイトをご覧ください。
こころのSOSサインに気づく|子どものSOSサイン|子どものメンタルヘルス|こころもメンテしよう~ご家族・教職員の皆さんへ~|厚生労働省
こうした小さなサインは、日頃の観察と子どもとの信頼関係があってこそ気づけるものです。「ちょっといつもと違うな」と感じた違和感を見逃さず、子どもの変化に寄り添っていくことが大切です。
子どもの異変に気づいたとき、最も大切なのは、「安心できる関係性」の中で声をかけることです。
また対応の基本は「アドバイスより共感」です。子どもが話してくれたとき、焦ってアドバイスをしたくなるかもしれません。しかし、それよりもまず大切なのは、子どもの感情をしっかり受け止め、共感することです。
以下の記事では具体的な対応方法が紹介されています。ぜひ参考にしてください。
悩む我が子にどう接すればいいですか? | 東京都 こども・子育てお悩み相談室
子どもが行き詰まった際に親ができること5選(ピッグママ) – エキスパート – Yahoo!ニュース
また、サポートする側の大人も、自分だけで対応しようと抱え込まず、必要に応じてスクールカウンセラーや養護教諭、医療機関などの専門家に相談することも重要です。早い段階で専門的な支援につなげることで、子どもの安全と回復の可能性が大きく広がります。
「見守る」「話を聞く」に加えて「支援につなげる」ことも、大人の大切な役割です。
今回は、不登校や自殺リスクが高まる6月に向けて、子どもたちが発する“こころのSOS”や、その対応について紹介しました。
日々の観察の中で子どもたちの小さな変化に気づき、適切な声かけを行い、必要な支援へとつなげていくことが重要です。「大丈夫?」というたった一言が、子どもの未来を守る大きなきっかけになるかもしれません。
小さなサインを見逃さず、寄り添って支えることが、まず私たちにできる最も大切な行動です。
スクールガーディアンでは、SNS相談サービスを提供しています。子どもたちが悩みを口に出しづらい状況の中でも、気軽に相談できる場を目指しています。関心のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。