昨年8月に国民生活センターが子どものオンラインゲームでの課金によるトラブルについて情報をまとめ発表しました。
それによると、コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えたことからスマートフォンやタブレット、家庭用ゲーム機でオンラインゲームを利用する中で、子どもが保護者の許可なく課金をしてしまったというトラブルが急増したということです。
どのようなケースがあるのか、またどのようなことに気を付けるべきなのかまとめたいと思います。
(独立行政法人国民生活センター発表資料)
国民生活センターの発表資料では、いくつかの事例を紹介しています。
【事例1】
小学生の子どもが、友達に「キャリア決済を使うとお金がかからない」と教えられ、スマホでオンラインゲームに高額課金していた 【事例2】 小学生の子どもがオンラインゲームで150万円以上も課金していたが、決済完了メールが子どもに削除されていたため気がつかなかった 【事例3】 小学生の子どもが、父親のアカウントを使って家庭用ゲーム機で遊び、アカウントに登録されていたクレジットカードを利用して課金していた 【事例4】 一度だけ課金するためにスマホにクレジットカードを登録したところ、小学生の子どもが30万円以上も課金してしまった。年齢確認画面で「20歳以上」を選択していたようだ |
(国民生活センター、2021年8月12日報道発表資料)
いずれも保護者の気づかない間に高額の課金が行われていたケースです。
このような事態を防ぐにはどうしたらいいのか、利用環境別に考えたいと思います。
保護者の端末や保護者がログインしている状態で子どもに使用させているときに勝手に課金をするケースがあります。
保護者が普段使用している端末ですので、ネットショッピングやその他の決済のためにクレジットカードが紐づけられていることも多いかと思います。
“ゲームだけをさせている”“ほかの操作をするはずはない”と思っていても、いつの間にかゲーム内での課金を行っていた、ほかのアプリ(ショッピングアプリ)などを開いて購入していた、などのトラブルにつながることがあるようです。
ポイント:『未成年者契約の取消し』
日本の法律では、未成年が保護者の許可なく、高額な買い物をした場合、その購買を取り消すことができることになっています。 しかし、保護者のアカウントや保護者のクレジットカードで購入した場合、“大人が購入した”とみなされ、取消しが行われない可能性が高くなります。 |
・関係のないアプリはログアウトした状態で子どもに渡す
・アプリ購入時やゲーム内の課金時のパスワード認証を必須にする
・ネット通販アプリなどで、ワンクリックで購入できないようにする
・決済完了メールを必ず確認する
この場合は、キャリア決済(電話代と一緒に請求される)やクレジットカードによる決済が考えられますが、予めその設定や紐づけをしておかなければ、課金されることはありません。
・キャリア決済の利用を停止(制限)する
・クレジットカードを紐づけない
また、iPhoneやandroidの機能を使って、“アプリストアでの購入制限をする”“新しいアプリのインストールや購入をすべて許可制にする”などの設定をすることも可能です。
コンビニ等で購入できるプリペイドカードを使ってアプリやゲーム内の課金をすることもできるため、お小遣いの範囲で課金を認めるというご家庭もあるかと思います。
端末の機能を利用し、制限をかける環境設定と合わせて、アプリ内での課金、オンラインゲームへの課金をどのように考えるか、“いくらまでなら課金していい”“どのような内容なら許可するか”などのルールを家庭ごとに親子で話し合って決めることがトラブルの抑止につながります。
「課金できる状態」になっていなければ、子どもたちはスマホやゲームで課金をすることはできないということを念頭に置き、大人が子どもたちに渡している端末がどのような状態であるかを確認する必要があります。
また、子どもたちは『未成年者契約の取消し』※という強力な法律で守られています。親のアカウントを共有するのではなく、子どもたち自身のアカウントを作成、使用し正しい年齢設定をすることで、様々な機能的な制限もかかりますし、万が一の場合にもこの法律に守ってもらうことができます。
設定をする、というと面倒に思うかもしれませんが、管理しやすく様々な工夫がなされています。子どもたちを守るためにも保護者の方には、必要な設定を行う、子どもの成長に合わせてその設定やルールを見直す、ということを行っていただきたいと思います。
※『未成年者契約の取消し』・・・2022年4月より成年年齢が現行の20才から18才に引き下げられます。これにより、18才は『未成年者契約の取消し』の保護の対象外となりますので、子どもたち自身にも注意を促していく必要があります。
※Web サイトについては、2022年1月13日に掲載されているものを参照しています。