スクールガーディアン:私たちも、今回の件をいじめという行為そのものの深刻さに加えて、それが撮影され、拡散される前提の社会において起きたことの危うさとして受け止めています。
教育と大人の認識が、その現実にまだ追いついていないことを強く感じています。
スマホは今や、連絡手段ではなく「常時起動の記録装置」です。そこへの自覚が、大人にも子どもにもまだ足りていません。森さんはどうお考えですか?
森さん:今回のようないじめ動画拡散の本質は、「いじめ」や「暴力」そのもの以上に、『いまは、やった瞬間に撮られる時代だ』という現実を、大人も子どもも正しく理解できていないことにあるのではないかと感じています。

スクールガーディアン:学校現場でよく聞くのが、「まさか撮られるとは思わなかった」「内輪のノリだった」という言葉です。でも実際には、“撮られる前提で行動する社会”にすでに移行している。
この前提を共有しないまま、従来型の指導だけを続けていること自体が、ズレを生んでいると感じます。
森さんは、この「撮られた後に何が起きるか」という点を、どう見ていますか?
森さん:暴力やいじめをすると、
・止められる前に
・注意される前に
まず、撮られる。
そして一度撮られた映像は、本人の意志とは関係なく拡散し、
「その行為をした人間」として一生レッテルを貼られる可能性があるということです。今回の件も、まさにそれに該当すると見ています。
スクールガーディアン:「一生消えない」というのは、大人が想像する以上に、子どもの将来を左右しますよね。進学、就職、人間関係すべてに影を落としかねない。いじめの被害者だけでなく、加害に回った側も“人生が変わってしまうリスク”を背負うという点を、もっと現実として伝える必要があります。森さんは、こうした“その後の人生”の重さを、子どもたちにどう伝えるべきだとお考えですか?
森さん:こうしたことを事前に知っていた子どもは、いじめ行為や撮影等に踏み出しにくくなると思いますが、
「バレなければ大丈夫」
「その場だけ」
と思っていると、簡単に一線を越えてしまう危険性があると考えています。

スクールガーディアン:まさにそこが、デジタルリテラシー教育の核心ですよね。
道徳や説教ではなく、「いまの社会構造では、何が起きるのか」を具体的に理解させること。
“悪いからダメ”ではなく、“現実としてこうなるから危ない”という伝え方が、抑止力になると考えていて、我々が年間を通して行っているリテラシー啓発講演もそうした想いを持って行っています。
森さん:子どもたちに伝える上で大切なことは、
「いじめはダメ」「暴力はダメ」と同時に、
『やった瞬間、誰かのスマホに一生残るかもしれない』この現実を、抑止力として大人が先に伝えるべきだと思っています。
スクールガーディアン:その意味で、森さんの言う「大人が先に知る」という視点はとても重要と考えています。教師も保護者も、「自分の時代の感覚」のまま話してしまうと、子どもたちには響きません。
アップロード、拡散、切り抜き、炎上という一連の流れを、まず大人が正確に理解することが、すべての出発点だと思います。
森さん:おっしゃる通りで、まさにそこが出発点だと思います。まずはこの視点を大人が共有し、子どもたちにどう伝えるか。そこまで含めて整理しないと、同じ構図の事件は今後も繰り返されると思っています。
スクールガーディアン:今回の事件は、誰か一人を責めて終わらせる話ではありません。
“撮られる社会”に生きる子どもたちに、どう備えを持たせるのか、どう判断力を育てるのかが問われています。森さんと同じ問題意識で、私たちスクールガーディアンも、学校や保護者と一緒にこの現実に向き合っていきたいと考えています。今回はありがとうございました。