2024年11月初旬、X(旧Twitter)で「チョコレートに虫が混入している」という写真付きの投稿が話題となりました。
この投稿は瞬く間に拡散され、多くの人が「食品の安全性」に対する懸念を共有しました。一部のユーザーは、「この企業の製品はもう買わない」とコメントし、不買運動を呼びかける動きまで広がりました。
しかし、すぐに公式が対応に動き、その後、チョコレート会社の公式X上で、〈投稿主のご家族様とご本人からお詫びのご連絡をいただきました。最近購入したという事実は誤認であること、ご自宅での保管状況がよくなかったことが確認とれました〉という報告があり、この投稿は投稿者が意図的に作成したもので、製品には全く問題がないことが明らかになりました。
この騒動は、「SNS上で拡散力の強い情報が、真偽を問わず一瞬で広がるリスク」を象徴しています。
なぜフェイク投稿はこれほどまでに簡単に拡散されるのでしょうか?いくつかの理由が挙げられます。
SNSではセンセーショナルな内容ほど拡散されやすく、投稿が多くの人々に届きやすい仕組みとなっています。特に感情を刺激する投稿はクリック率やリツイート率が高く、拡散のスピードを加速させます。中には悪意はなく、ただ興味本位で拡散されるケースも少なくありません。
今回のような投稿の場合、投稿者の動機は「注目を集めたい」という自己承認欲求や、フォロワーを増やすことで得られる経済的利益であることが多いとされています。企業に対する恨みや困らせたいという悪意はなく、単なる面白半分で投稿されることもあります。
投稿者自身が、投稿する情報の真偽を確認しないまま拡散してしまうケースもあります。例えば、「誰かが言っていた」「写真がそれらしく見える」といった理由だけで、意図せずフェイク投稿を作り上げてしまうことがあります。これは、情報リテラシー(情報の信頼性を判断する力)の欠如に起因しています。
フェイク投稿に対処するためには、私たち一人ひとりが「情報リテラシー」を高める必要があります。
投稿の出典を確認することは、フェイク情報を見極める第一歩です。
SNSで目にする情報が政府機関や報道機関、企業の公式アカウントなど信頼できる発信源から提供されているかを確認し、さらにその投稿が最新のものであるかどうかにも注意を払いましょう。
公式アカウントに見せかけた偽アカウントが存在する場合もあるため、アカウント名や認証マークをチェックすることが重要です。
SNSで目にした情報をそのまま鵜呑みにせず、複数の情報源を比較しながら真偽を確認する習慣を持つことが大切です。
一つのニュースが、他の信頼できる報道機関でも取り上げられているかを調べ、国際ニュースの場合は海外のメディアを参考にすることも有効です。情報の根拠となる具体的なデータや統計、研究結果などが提示されているかも確認するとよいでしょう。
また、「誰かが言っていた」「ある関係者によると」といった曖昧な表現が使われている情報は、証拠が不十分であることが多いため、慎重に扱う必要があります。
SNSで目にした情報にすぐ反応し、拡散するのではなく、一呼吸置いて冷静になることが大切です。怒りや驚き、恐怖といった感情を刺激する投稿ほど、冷静に対処する必要があります。
まずは、投稿全体を読み込んで、その意図や背景を理解する努力をしましょう。また、投稿への返信やリプライを確認することで、他のユーザーが指摘する矛盾点を見つけることができる場合もあります。
投稿を目にした際に、一度真偽を疑う習慣を身に付け、過剰な批判や虚偽の情報を拡散しないようにしましょう。
チョコレート虫混入投稿の騒動は、SNSの利便性の裏側に潜むリスクを浮き彫りにしました。
誰でも情報発信ができるSNSを利用するうえで、情報を鵜呑みにせず、自らその真偽を確認する姿勢はとても大切です。また、SNSでの投稿は簡単に多くの人に届く一方で、その責任も重大であることを認識しなければなりません。
正しい情報リテラシーを持つことで、私たちはフェイク投稿に惑わされず、自ら正確な情報を選び取る力を育むことができます。
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