ICT教育推進担当の先生とは別の先生が、生徒指導の観点からタブレット使用ルールを策定するように任された、というケースが多くあります。
「ルール」というからには、やって良いことと悪いことの線引きをしていくわけですが、細かく「あれがだめ」「これがだめ」と禁止する前に、「何のためにタブレットを導入するのか」、「学校としてのICT教育推進の目的は何か」「そもそもICT教育とはどのようなものなのか」を確認しておく必要があります。
ICT教育を進める一方で、ICT推進によって起こりうるネットトラブルの予防策を考えることは、一見相反しているように見えますが、タブレットを導入して実現したいことや目的を見据えることで、ちょうど良い場所にルールを落とし込むことができます。
タブレット導入の目的が確認できたら、それにもとづいて、各生徒が授業などでどのようにタブレットを活用していくのか、イメージをすり合わせます。
例えば、学習目的で導入するのであれば、授業や学習に関係のない活動時には利用せず、学習に関係のないアプリはそもそもインストールしないなどといった決まりをつくりましょう。どんどん自分の生活に取り入れて活用していってもらいたいという方向性であれば、年齢制限のあるサイトやアプリ以外は、必要に応じて利用する可能性が出てくることになります。
せっかく導入したのに禁止事項が多すぎてほとんど活用されないのであれば、本来の目的を達成できなくなるかもしれません。生徒にどの程度のICT教育を促したいのか改めて学校内での認識をすり合わせましょう。
続いて、今回策定するタブレット使用ルールの守備範囲を決めます。例えば「ハードウェアやセキュリティのことまで決めるのか」「タブレットの使い方の指針程度に留めるのか」などです。
守備範囲がピンとこない方は、以下のポイントを参考にしてください。
生徒指導部でタブレットのルールを策定する場合は、ハードウェアやセキュリティのことなどは範囲外とし、細則や注意事項関連はICT教育推進担当者から案内する方法もあります。
また、あまりにルールが多岐に渡ると記憶するのも大変ですし、意識して使うこともかえって難しくなるのかもしれません。「タブレット使用ルール」には本当に必要な項目のみに絞ることをおすすめします。
ここまで決まったら細かな禁止事項などについて、最低限の必要事項を決めていきましょう。こちらにICT教育やタブレットの使用ルールに取り入れておきたい観点をまとめました。
以上は、複数の学校で実際に運用されているルールを参考にリストアップしたものです。決して、これらすべてを決めなければならないわけではありません。各校のICT教育の進捗とタブレットの導入事情と照らし合わせて、まず最低限のルールから盛り込んでいくことをおすすめします。
また、「インターネット・ソーシャルメディアの利用方法」については、別途「ソーシャルメディアポリシー」を策定することもおすすめです。学校の授業でタブレットを使用する時だけではなく、日常生活でソーシャルメディアを利用する際のルールとして、タブレット使用ルールとはまた別の枠組みで定める(既に定めている)学校も多いようです。
上記のステップを経ることで、条件がそろいます。ここからはタイトルや定めるルールの分類方法の例として、いくつかの学校様のタブレット使用ルールをもとに、ICT教育のモデルとなる構成を挙げてみます。
タブレットなどのICT機器は変化がスピーディーであり、ルール策定はどの学校様にとっても新たなチャレンジになるかと思います。そんなタブレットの使用ルールは作成して終わりにするのではなく、実際に運用しながらうまくいかない部分があれば修正したり、カバーしきれていない項目を追加したりするなどして、バージョンアップが欠かせません。
ルールのタイトルには、②でご紹介した学校によるタブレット導入の方向性が現れます。 また、注意点をただ列挙するのではなく、学校と家という利用シーンにあわせて示すと、生徒が理解しやすくなるかもしれません。
今回は一般的な手引きとして、タブレット使用ルールを作成する際に確認すべきこと、決めておくべきことなどをまとめました。
「検討すべき観点」を具体的にはどう定めるべきかという点については、Step 1や2で示したタブレットの目的や、ICT教育の方向性、また各校の状況などによってさまざまかと存じます。各校内でご検討しつつ、お悩みの点がございましたら、ぜひ弊社スクールガーディアンのスタッフにご相談ください。各校の先生方よりいただいた他校様のルール事例などを参考にしていただくことも可能です。
また、これからルールを策定される学校様には、弊社スタッフよりルールのご提供をお願いさせていただく場合がございます。他の学校様への参考やICT教育の促進につながるものですので、ぜひご協力をお願いいたします。
それぞれの学校様が、ICT教育の新たな挑戦に向けて試行錯誤されている中かと存じます。お互いに知見を共有しつつ、タブレットとの付き合い方、ひいてはICT教育の促進を進めてまいりましょう。