学校現場での指導の際には、実際に起きている以下のような事例を共有することが効果的です。
「〇〇で家族が生き埋めになっています!拡散してください」という住所付きの投稿が大量に拡散されました。しかし、実際には指定された住所に被害はなく、投稿文章も過去の災害時に投稿されたものと全く同じ内容でした。 善意で拡散された情報が消防や警察の業務を圧迫し、真に救助を必要とする人への対応を遅らせるリスクを引き起こしました。
「街全体が水没した」とするショッキングな画像がSNS上に投稿され話題になりましたが、後に生成AIで作られた架空の画像であることが判明しました。 近年のAI技術向上により、一見しただけでは見分けがつかない偽情報が子どもたちのスマホの画面にも届いています。
子どもたちが誤情報を拡散してしまう背景には、大きく分けて2つの心理的要因があります。
ショッキングなニュースに接した際、誰かと共有することで不安を和らげようとする心理(親和欲求)が働きます。
「困っている人を助ける自分」「いち早く重要な情報をみんなに知らせる自分」という意識が働き、裏取り(事実確認)よりも拡散を優先してしまいます。
指導においては、子どもたちの「助けたい」「教えたい」という気持ち自体は否定せず、「その行動が結果としてどう影響するか」を考えさせることが重要です。
支援の方法は「情報を広めること」だけではありません。「不確実な情報を自分のところで止め、静観する」ことも、現場の混乱を防ぎ救助活動を支える大切な貢献(支援)であることを伝えます。
拡散する前に、自治体、警察・消防、大手報道機関などの公式アカウントや公式サイトから発信されている情報かを確認する癖をつけさせます。個人の「〜らしい」という投稿は鵜呑みにさせない指導が必要です。
感情(驚き・怒り・不安)が動いたときほど、すぐにスマホの操作(リポストやいいね)をせず、「一度深呼吸して画面を伏せる」等の自分のルールを決めることを提示します。
「画像があるから本物」「〇〇さんがリポストしているから正しい」とは限らない時代であることを、最新の事例とともに示します。
災害時のSNS対応は、パニックが起きてからでは遅く、平時からの学級指導や情報モラル教育の蓄積が試されます。「怪しい情報は広めない」「判断がつかない場合は無理に行動せず一呼吸置く」という姿勢を育むことは、巡り巡って子どもたち自身や被災地の人々を守ることにつながります。ぜひ、学級活動や避難訓練とあわせて、SNS上の情報との付き合い方について話し合う機会を設けてみてください。