皆さんは「オンラインカジノ」をご存知でしょうか?
昨今、芸能人やスポーツ選手等の有名人が「オンラインカジノ」に関わったという問題がメディアで大々的に報じられています。オンラインカジノとは、スマートフォンやパソコンなどを通じて、オンライン上でスロットやスポーツ・格闘技の勝敗予想などを行い、結果に対して暗号資産や電子マネーなどを賭けるものです。
最近はパズルのようなゲームも賭けの対象となっており、スマートフォンで24時間好きな時間に好きなだけできるため、他のギャンブルよりも依存しやすいという面が問題視されています。
「海外の事業者が合法的に運営しているものであれば、日本国内で個人的に利用しても犯罪にはならないのでは・・・?」そう感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、たとえ海外で合法的に運営されているオンラインカジノであっても、日本国内で賭博を行うことは犯罪です。
オンラインカジノは「バカラ」「スロット」「スポーツベッティング」等、様々な名称で呼ばれることがありますが、その名称や内容にかかわらず、オンライン上で行われる賭博は犯罪であるということを、私たちは認識しておく必要があります。
実際にオンラインカジノを利用した賭客を賭博罪で検挙した事例もありますが、日本で摘発が増えてきたのは2024年あたりからです。
まだ国内では「違法」という認識が低いため、まず「賭博は犯罪である」と知っておくことが重要なのです。
首相官邸HPでも、依存防止対策、青少年の健全育成について取り上げるなど、問題意識も高まってきています。
(参考:警察庁サイト内記事https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/onlinecasino/onlinecasino.html
首相官邸HP 依存防止対策、青少年の健全育成についてhttps://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/ir_kaigi/dai5/siryou3.pdf)
これまでは違法性認知の低さについて触れてきましたが、そもそも、どのような経緯で「オンラインカジノ」に触れるきっかけを持つのでしょうか?
筆者がインターネット上で検索した際にも、きちんと違法であると記載されている記事もあれば、「20歳以上であれば簡単に利用できる」「未成年でも無料で登録ができる」という内容を紹介する記事も見つかりました。
さらには、「入会不要で、今なら〇円分のボーナスがもらえる!」という「お得さ」をアピールする広告も目に留まります。
「登録不要」「無料」「大手企業の運営なので安心」そんな言葉が書かれたカラフルな広告は、大人だけでなく、子どもにとっても魅力的に感じるでしょう。
神戸新聞の記事によると、昨年、オンラインカジノの換金疑惑について調査を行った際、捜査本部が特定して事情を聴いた客のほとんどが未成年だったといいます。軽い気持ちで登録を行い、オンラインカジノが違法だと知らないゆえに、20代などの若者がギャンブル依存症に陥るケースも増えてきています。
(参考:神戸新聞2024/3/15記事https://www.kobe-np.co.jp/news/backnumber2/202403/0017434040.shtml)
このような「広告」が及ぼす影響の大きさをふまえ、YouTubeは「オンラインギャンブルコンテンツに関するポリシー」の更新を発表する等、広告の表示を規制する対策を行う動きも見られています。
これについて、Googleは「カジノゲームやアプリケーションなどのオンラインギャンブルコンテンツに焦点を当てたクリエイターに影響が及ぶ可能性があることを承知しておりますが、この変更はコミュニティ、特に未成年の視聴者を保護するために必要なステップであると考えています」と主張しており、視聴者も不適切なコンテンツに惑わされないよう注意が必要であると述べています。
(参照元:YouTubeヘルプ「オンラインギャンブルコンテンツに関するYouTubeのポリシーの更新」よりhttps://support.google.com/youtube/thread/328796538/)
今回の記事では、オンラインカジノについて取り上げました。
現状では、消費者センターへの未成年者のオンラインカジノの相談は少ないとの情報もあります。(上記記事より)
しかし、成人年齢が18歳に引き下げられていることもあり、特にその前の世代である未成年者にも、オンラインカジノは違法で「やってはいけないこと」ということを伝えておくことは必要です。
教育現場でも、インターネットリテラシー教育に加え、オンラインゲームの高額課金等のトラブルを引き起こさないための啓発を引き続き徹底していく必要があるのではないでしょうか。
まだまだ馴染みのない方もいらっしゃると思いますが、改めて日常的なインターネット利用の中に潜むリスクを知っていただければ幸いです。