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「インターネット上の誹謗中傷対策」の動向

2020.11.18

インターネット上の誹謗中傷によるトラブルが多い昨今、対策として法改正や各事業者のルール変更が行われています。特に今年は、「法改正や各事業者のルール変更」の動きは加速していると言われています。
軽い気持ちで誹謗中傷の投稿をしてしまうと、投稿者が特定されて、投稿の責任を負う追う可能性が高くなる上がってきます。再度、投稿内容に注意を促す意味でも、誹謗中傷対策の動向を整理したいと思います。

誹謗中傷関連のできごと

【参照】総務省:インターネット上の誹謗中傷への対策
 

また、今年の6月の記事にて、「ネット上での誹謗中傷を行うことの影響」も記載してありますので、併せてご確認ください。

インターネット上の誹謗中傷事例

「ガラケーの女」デマ、法的措置へ 被害女性が会見:朝日新聞デジタル

茨城県守谷市の常磐自動車道で男性会社員があおり運転を受けた後に殴られた事件をめぐり、「傷害容疑で指名手配された男の車に同乗していた女だ」というデマ情報をインターネット上で流された都内在住の会社経営の女性が23日、弁護士とともに会見し、デマ情報を投稿した人たちの法的責任を追及する方針を明らかにした。女性は「SNSで手軽に発信できる時代だが、責任を取れるのか考えてほしい」と訴えた。 …

「ガラケー女」デマ拡散 辞職の前市議「出馬予定ない」:朝日新聞デジタル

8月に茨城県の常磐道で起きたあおり運転事件を巡り、ネット上にデマを流したとして会社経営の女性から慰謝料を求める訴訟を起こされ、愛知県豊田市議を辞職した原田隆司氏(57)が5日、豊田市内で記者会見した。女性に改めて謝罪し、辞職の理由を「(市議のままでは)公務がたくさん入っており、おわびに上がる時間がなかなか取れない。多くの方からおしかりの電話やメールが届いているうえ、皆様にご迷惑をおかけできな…

「ガラケー女」デマ拡散、元市議に33万円の賠償命令:朝日新聞デジタル

茨城県の常磐自動車道で昨年8月に起きたあおり運転事件を巡り、容疑者の車に同乗していた「ガラケー女」とのデマをネット上で流され名誉を傷つけられたとして、東京の会社経営の女性が愛知県豊田市の原田隆司・元市議(58)に慰謝料など110万円を求めた訴訟の判決が17日、東京地裁であった。田中寛明裁判長は名誉毀損(きそん)を認め、元市議に33万円の賠償を命じた。 …

 

この「あおり運転」の事例を時系列に並べると次のようになります。

2019年8月10日 茨城県にてあおり運転の事件発生
2019年8月16日 容疑者指名手配
2019年8月17日~ 同席女性の「デマ情報」の投稿・拡散・多数の誹謗中傷投稿
2019年8月18日 「デマ情報」被害者の会社のHPにて、「投稿者への法的措置の検討」声明発表
2019年8月23日 「デマ情報」被害者が会見
2019年8月30日 「デマ情報」を拡散した市議会議員が謝罪会見(前日の29日にフェイスブックにて謝罪文と動画の投稿)
2019年8月31日 「デマ情報」被害者側弁護士が会見し市議会議員との和解には応じない旨を発表
2020年8月17日 東京地裁にて、元市議会議員に名誉毀損を認め、元市議に賠償を命じる

朝日新聞の記事によると、インスタを含め100件以上の書き込みについて投稿者の開示請求を申し立てたほか、和解の申し出にも応じているとのことです。

 

他にも、「プロレスラーの木村花さん」や「ジャーナリストの伊藤詩織さん」など、投稿者や拡散に対し、投稿者を特定し法的措置を取ることを明言しているケースもあります。

テラハ・木村花さんの母「誹謗中傷は犯罪だと分かって」 愛娘の死から5カ月、思い語る:東京新聞 TOKYO Web

フジテレビの人気番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー木村花さん=当時(22)=が、会員制交流サイト(SNS)での中傷を苦に自ら命を絶ってから23日で5カ月となった。インターネット上では匿名で個人を攻撃する悪質な投稿は今も続く。本紙の取材に応じた母響子さん(43)は最愛の娘を失った悲しみを胸に「自分の大事な人に同じことが言えますか。誹謗中傷は犯罪だと分かってほしい」と訴える。(天…

【伊藤詩織さんインタビュー】漫画家はすみとしこ氏らを提訴。SNSの誹謗中傷など70万件を分析

Twitter上で名誉を毀損されたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんは6月8日、漫画家のはすみとしこ氏ら3人を相手取り、770万円の損害賠償と投稿の削除、謝罪を求め、東京地方裁判所に提訴した。 …

 

一般人では、次のようなケースもあります。

ネット誹謗中傷で自殺図った高校生「発信者に罰も必要では」:東京新聞 TOKYO Web

フジテレビの恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花さん(22)が会員制交流サイト(SNS)上で非難された後、遺書のようなメモを残して亡くなったことを受け、インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷が改めて問題視されている。中学時代にいじめに絡んだ書き込みをされた高校男子生徒(17)が本紙の取材に応じ、「前から問題になっているのに対策が打たれていない。政治家など…

時系列に並べると次のようになります。

2015年 中学校入学後、部活内で仲間外れや暴言、暴力を受ける
2016年秋 自殺未遂
頑張って登校しても、ある時からクラスで口をきいてもらえず、知らない生徒から指をさされるようになり、友人からネット掲示板の存在を知らされ、ショックを受ける
2018年1月 母親が弁護士に相談
4件の書き込みに絞り、投稿者情報開示をプロバイダー(ネット接続業者)三社に求め訴訟
2018年12月 東京地裁が開示を命令
3人の投稿者情報が判明し、1人と和解
~2019年9月 2人を提訴し、2019年の9月までに和解

 

どのケースでも、起訴から投稿者情報の開示命令までに時間がかかっています。
あおり運転のケースのように、投稿者が特定されていると、法的措置や和解までの時間がかからないようです。
課題は投稿者特定に時間がかかることで、その間に発信者情報の保存期間が過ぎ、発信者が特定できなくなることといわれています。

国の対策動向・事業者の取り組み

では、対策としては、現状どのようになっているのでしょうか?
総務省の発表と各事業者の取り組みについて見ていきます。

総務省|インターネット上の違法・有害情報に対する対応(プロバイダ責任制限法)|インターネット上の誹謗中傷への対策

SNS等のプラットフォームサービスの普及に伴い、インターネット上で気軽に自由なコミュニケーションを行うことができるようになった一方で、匿名のまま不特定多数に向けて特定個人の誹謗中傷を書き込んだり、特定個人のアカウントに対して一方的に誹謗中傷のメッセージ等を発信したりする事例も発生しており、インターネット上の誹謗中傷が深刻な社会問題となっております。 …


総務省発表事項を時系列で並べると次の通りです。

A) 2020年4月 発信者情報開示の在り方に関する研究会」を開始
B) 2020年8月7日 インターネット上の誹謗中傷への対応の在り方に関する緊急提言」を取りまとめ
C) 2020年8月31日 発信者情報開示の在り方に関する研究会 中間とりまとめ」を公表
D) 2020年9月1日 インターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージ」を取りまとめ

Aの掲載資料「発信者情報開示の在り方に関する研究会 中間とりまとめ」を確認すると、5ページ目に記載があるとおり、現状の法律と照らし合わせて、被害者・加害者(発信者)双方の法益を適切に確保するかの観点から検討が進められています。

 

Bの掲載資料「プラットフォームサービスに関する研究会 インターネット上の誹謗中傷への対応の在り方に関する緊急提言」を確認すると、7ページ目にプラットフォーム事業者(TwitterやInstagram等のアプリの運営会社)の対策案が記載されています。

1. 誹謗中傷等に関連して、どのような種類・性質の情報又はアカウントに対して、どのような対応を行うのか、自らが提供するサービスの全体的な考え方や具体的な対応に関する規約やポリシーをあらかじめ明確に定めてわかりやすく公開すること
2. 規約やポリシーに基づいて、自らが実際に行った取組の結果を具体的なデータ等により公開すること
3. 取組の効果について分析を行い、公開すること
4. 取組の効果や誹謗中傷の流通状況について、外部の研究者等が調査分析を行う際に必要な情報を提供すること
5. 削除やアカウント停止等の対応に関して利用者からの苦情や問合せ等がある場合に備え、苦情受付態勢及び苦情処理プロセスを適切に定め、利用者に対してわかりやすく公開し、適切に運用を行うこと

また、上記「総務省:インターネット上の誹謗中傷への対策」のページには、各プラットフォーム事業者からの提出書類として「誹謗中傷等への対策状況 ヒアリングシート」も載っています。

 

Dの掲載資料「インターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージ」を確認すると、6~8ページ目に「発信者情報開示に関する取組」の記載があります。

①電話番号の開示対象への追加  → 8月に関係省令の改正済み
②新たな裁判手続の創設  → 11月を目途に最終とりまとめ
③ログイン時情報の開示  → 11月を目途に最終とりまとめ
④裁判外(任意)開示の促進  → 9月以降、継続的に実施

①の電話番号の開示については今年の8月に改正済みです。

開示対象に電話番号追加 ネット中傷抑止へ省令改正

総務省は31日、インターネット上で誹謗(ひぼう)中傷を受けた被害者が匿名の投稿者の身元を迅速に特定しやすくするため、情報開示対象に投稿者の電話番号を追加する省令改正を行い、即日施行した。会員制交流サイト(SNS)での被害が増えていることに対応し、被害者の救済と悪質な投稿の抑止を図る。 …


②も③も「今年の11月を目処に取りまとめる」とありますので、発信者情報開示については早急の対応が期待できます。
 

また、発信者情報開示以外の取り組みの一つとして、次の「#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)」のページにて、SNS上のやり取りで悩む方に役立てていただくための特設サイトを開設しています。

総務省|教育情報化の推進|#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)

総務省は、「#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)」をスローガンに、SNS等における誹謗中傷対策に取り組んでいます。 https://no-heart-no-sns.smaj.or.jp/  総務省は、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構及び法務省と共同して、SNS上のやり取りで悩む方に役立てていただくための特設サイトを開設しています。 …

他にも省庁だけの対応ではなく、自治体でも群馬県が「群馬県インターネット上の誹謗中傷被害者支援条例(仮称)」の制定に向けた検討に動いています。

群馬県知事肝いり条例4本、一気に施行へ 全国初SNS被害者条例、児童虐待防止、外国人共生も

群馬県の山本一太知事が昨年の知事選公約に掲げるなどした肝いりの県条例4本が、12月から来年4月にかけ一気に施行される見通しであることが25日、分かった。SNS(会員制交流サイト)の中傷被害者を支援する条例は年内に全国で初めて施行され、児童虐待防止条例など3本も新年度施行に向けた手続きが山場を迎える。県議会の議決を経て制定が実現すれば、知事の具体的な成果となりそうだ。(柳原一哉、写真も) …

このように、国内でもインターネット上の誹謗中傷対策は進んできています。
投稿をする人には、このような現状を知っていただき、「投稿する際には再度確認をする」や「感情が高ぶっている際には、投稿しない」等の注意に意識が行くようになり、誹謗中傷が減ってくることを望みます。

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