2016.04.24
従来の「ネットリテラシー講座」ではインターネットの可能性と危険性を学習しますが、インターネットを使ったことがない生徒には実感が湧かず、自分事として捉えられません。そこで、この取り組みではFacebookの学校アカウントを作成し、設定したテーマについて記事や写真を生徒が発信する機会を作り、体験から学ぶことを重視しました。
トラブルに巻き込まれることなく、ソーシャルメディアを利用するためにはルールが必要です。初めの授業では、ネットリテラシー教育を中学生、高校生に提供する学生団体UniXから、ソーシャルメディアの危険性と可能性を学習します。次に、トラブルを避け可能性を広げるためにソーシャルメディアを使うためのルールを生徒自身が考えるワークショップを実施しました。出来上がったルールが下記の5項目です。
ソーシャルメディアの日々の使い方を生徒同士が話し会い、「それあるある!」と体験を語り合っていたのが印象的でした。5つのルールは、どれも女子高生らしいアイデアになっています。ルールを作れば安全かといえば、そうではありません。ソーシャルメディアは世界と繋がっているため、不特定多数の人から閲覧されコメントがくる可能性があります。授業で利用するFacebookアカウントには、生徒が危うい言葉で傷つかないために、授業期間中はコメントが来れば見守り、不適切な表現があれば削除する体制を整えました。
授業では課題を自ら設定して、解決にむけて取り組む”プロジェクト型教育”を取り入れました。課題を解決するためにインターネットを利用することで、インターネットに興味がなく触れたことがない人でも学習できるのが本プログラムの特長です。今回の課題は、学校行事(修学旅行、学園祭、体育祭)についてグループごとにまとめ、写真や記事を投稿しました。
インターネットについて学ぶ時、活用事例、トラブルの事例を紹介するなど、一方的な事例伝達になりかねません。実際にインターネットを課題解決のために利用し、仲間と話合いながら学習を進めていきます。
クラスで作成したソーシャルメディアを安全につかう5つのルールを守りながら、Facebookへ課題について記事を書き込む体験を通して学んだことを、グループごとに3分のプレゼンテーションを行いました。このプレゼンテーションは、インターネットのルールをトラブルが最も多い世代である中学生が学習できるように、絵を多めに取り入れ、文字をシンプルにして分かりやすくしています。後日、中学生にもこのプレゼンテーションを通してネットリテラシーを高校生が教える機会を作り、中学校の先生方から好評をいただきました。
授業を実施した先生に感想を伺いました。
「学んだことを実践する交流、プロジェクト学習を実践することによりリテラシーを育み、生徒たちが、主体的に学ぶ意欲や問題発見・解決能力を自分たちの学校生活を紹介するFacebookページの作成を通じて身に付け、情報活用の実践力を育むことができました。教員のみならず生徒たちも、相手のある緊張感から、停滞しがちだった学習活動をより活発にすることが可能になりました。今後はFacebookを英語に翻訳して国外にも発信するプログラムを予定しています。」
ご協力いただいた先生は初めてFacebookを利用し、「新しいことを学べて嬉しい」とおっしゃっていたのが印象的でした。
今後の展望について同校教諭米田謙三先生にお話を伺いました。「今後、Facebookを英語に翻訳して国外にも発信するプログラムを予定しています。国際交流が盛んで、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど様々な国々の学生が羽衣学園にやってきます。グローバル化が進む世界で、世界と繋がる教育はユニークな取り組みになります。」世界中の学校がインターネットを通して繋がり、互いに学びを共有できるビジョンを打ち出す羽衣学園。今後も注目を集めると思います。アディッシュでは羽衣学園のように、学校がソーシャルメディアを活用する社会を目指して応援します。
羽衣学園中学校・高等学校
URL:http://www.hagoromogakuen.ed.jp/
公益社団法人著作権情報センター 著作権教育実践事例 第8回 入賞事例
URL:http://www.cric.or.jp/education/jissenrei8/hagoromo/hagoromo.html