2016.04.24
フォーラムでは、スクールガーディアン事業責任者である杉之原がソーシャルメディアの活用とリスクについて基調講演を行いました。基調講演の後に行われた、参加した高校生によるソーシャルメディアポリシー作成のワークショップでは、ALL東北教育フェスタ実行委員会(東北福祉大学、東北大学、宮城教育大学からなる学生団体)の大学生が進行役を務めました。アディッシュはワークショップ企画、大学生進行役へのレクチャーにおいて、約1年かけて取り組んできました。
ソーシャルメディアを安全に利用するためには、利用者としての責任を自覚し、状況に応じた自分なりの最適解を持つ必要があると考えています。
ワークショップでは、参加した高校生が30のグループに分かれ、ソーシャルメディア関連の体験談を共有しました。このグループディスカッションは、ALL東北教育フェスタの大学生が各グループにファシリテーターとして参加しました。
ディスカッションでは、事前に高校生に学校の風景や部活動の様子を映した写真を準備してもらいました。自身のソーシャルメディア関連の体験に加え、持ち寄った写真をソーシャルメディアに掲載する場合を想定し、「どのような写真ならソーシャルメディアに載せていいか」という感覚についても話し合いました。そうすることで、ソーシャルメディアに掲載する内容がいったいどう感じられているのか、自分視点と他者視点で考えられたと捉えています。高校生同士が、ディスカッションで出た意見を自分事として捉え、白熱した議論をしている姿が印象的でした。
次に、高校生自身がソーシャルメディアを使用する中で注意すべきと感じた事例を出し合いました。話を聞いていると、多くの高校生が、自分自身がヒヤっとした、または周囲でトラブルがあった経験をしている事が見受けられました。一例として、コミュニケーションツールを利用したグループのやりとりの中で即座に返信しなかった事で仲間外れにあった、見に覚えのない噂をソーシャルメディア上で拡散されてしまった、などが挙げられます。
これらの問題に対し、高校生は、インターネット上のやりとりに依存するのではなく、現実の生活でのコミュニケーションで防ぐことができる、という結論を見出しました。
ワークショップで導き出した解決策をもとに完成したポリシーのうちの1つをご紹介します。「~してはいけない」という表現が出てくるのかなと想像していましたので、トラブル例に対する解決ガイドラインではない、このようなメッセージはとても嬉しいものでした。
ソーシャルメディア利用は利用者個人の責任です。利用するという選択をするからには、自分なりのルールを持ち、それを確認しながら使うことで、このポリシーの様にソーシャルメディアを通して世界との繋がりを有効に広げていきたいものです。加えて、社会に出ればソーシャルメディアを当たり前に利用し、さらには活用することが求められます。その世の中を生きていく高校生に伝えたい素敵なメッセージだと思います。
このポリシーは、宮城県の高校生のためのポリシーとして後日各学校に配布されます。そして、各学校で今回行ったようなワークを実施し、学校独自のポリシーを記入できるポスターとして活用される予定です。
総務省は2013年9月に「スマートフォン安心安全強化戦略」を公表しました。この中で、ソーシャルメディアの不適切な利用を防ぐために、中学校・高等学校でのソーシャルメディアガイドラインの策定を提言しています。アディッシュでは、宮城県のようにソーシャルメディアガイドライン策定を推進する取り組みを支援しています。